ぴょんぴょんと跳ねてびっくりするくらい俊敏な走りをみせるうさぎ。その走りを支えているのは、うさぎの脚に他なりません。しかし実は、うさぎの脚には肉球はありません。種類問わず様々な動物の脚にある肉球ですが、なぜうさぎにはないのでしょうか?今回はうさぎの脚に肉球がない理由とうさぎ特有の特徴をご紹介していきます。
目次
ほとんどの動物の足の裏についている肉球。触って見るとぷにぷにと柔らかくクッション性があることが分かります。肉球の役割は主に3つです。
・衝撃吸収
・滑り止め
・足音を消す
脚の裏を保護する役割も担う肉球は、肉食動物や他の草食動物だけでなくうさぎと同じげっ歯類であるネズミやリスにもあります。では、なぜうさぎには肉球がないのでしょうか?
うさぎの脚には肉球がない代わりにたくさんの被毛が密集しています。長く硬めの被毛が覆っているおかげでうさぎの脚の裏は守られているんです。稀に皮膚病に罹ったうさぎの脚の被毛が抜けてしまった時に肉球の名残が見つかることがあるそうですが、これは本当に珍しいことだそうです。
うさぎの脚には、肉球がありません!可愛い顔とフォルムでファンも多いうさぎですが、驚くほど俊敏で人間の足では到底追いつけない速度で走り回ることができます。骨そのものを軽くすることで強靭な脚力を持つために進化したうさぎは、主にヨーロッパの草原や森の中が原産地とされています。
草が多い地面は柔らかいため肉球がなくても十分にクッション性があり、衝撃も吸収する効果も期待できます。うさぎの脚に肉球がないのは生息している環境も大きく関わっていたのです。
うさぎは走る場所は、主に草原です。草原は土と違って滑り止めが必要ないため、うさぎの脚には肉球がなくなったと言われています。そもそも肉球は土や岩場で生活している動物が滑らないようにするための役割も担っています。
草原の多くは、急斜面がほとんどない平地です。滑り止めである肉球がなくても十分走るのに困りません。うさぎが土の上で走る時や穴を掘る時は、爪を使って走るのです。
犬や猫などの肉食動物の足にある肉球は、足音を消してより獲物に近づくためのものです。対照的に肉食動物から逃げる立場にあるうさぎは、そもそも足音を消す必要がありません。うさぎは危険を察知した時に逃げるために全力で走ります。肉食動物のように獲物にできる限り近づき追いまわす必要がないため、必然的に肉球は必要としなくなり発達しなかったのです。
うさぎはその長い耳で危険を察知した時、足をダンッダンッと地面を踏み鳴らす音で周囲の仲間に危険を知らせます。「スタンピング」と呼ばれる行為で、通称「足ダン」とも言います。もし肉球があったら衝撃や音が軽減されて仲間が危険に気付かない可能性が出てきます。肉球がないからこそ、うさぎ特有のスタンピングの効果が発揮されるのです。
自然界で生きているうさぎは、肉球がなくても全く問題ありません。しかしペットとして飼われているうさぎは、滑りやすいフローリングやプラスチック、コンクリートの上で移動することが多いため、転倒や脚や関節に負荷がかかって骨折しやすくなります。脚の裏に負荷がかかるとまるで肉球のような「ソアホック」という病気に罹りやすくなるので注意が必要です。
様々な動物にある肉球がうさぎの脚にはないことを、意外だと思われた方も多いでしょう。生きてきた環境や習性に合わせるために、うさぎの脚は現在の形に進化しました。もしうさぎを飼育していない方もウサギカフェなどを訪れて抱っこする機会に恵まれたら。ぜひ脚の裏を見て手で触れてみてください。手触りの良い被毛の下には、本当に肉球がありません。
動物園と水族館と映画館をこよなく愛しているライターです。幼い頃から動物と触れ合う機会に恵まれ、犬、猫、亀、金魚、うさぎ、ハムスター、熱帯魚などを飼っていました。多様な動物の飼育経験を生かした記事を中心に書いています。